4歳のお子様をもつ、2人目不妊の方。なかなか着床しないため、移植前に身体を改善させるためにご来院されました。
【初診時】

生理中の腹痛と頭痛(持続する鈍痛)が3日まで続き毎回薬を飲まないといけない状態でした。月経の色も暗く、塊があり、産後からとても量が減ったとのことでした。また、産後から夜中目覚めることが多くなったそうです。
足はひざ下からキンキンに冷えており、緊張などで冷や汗が出てさらに冷える、という悪循環状態でした。
ワンオペ育児と仕事の両立でなかなか自分の時間が取れず疲れ気味で、身体は柔軟性がなくカチカチ。背骨の歪みも目立っていました。
【経過】
全身と子宮の血流不足、寒熱バランスに対する鍼灸(奇経治療メイン)をスタートするとともに、朝10分のヨガ(下半身中心)の時間を必ず取るようししてもらいました。
また、気血を補うためのツボを選定し、毎日1回のせんねん灸をスタートしてもらいました。
【結果】
治療を重ねることで「調子がいい!」と感じられていました。ヨガをすることで気分もスッキリし、冷え方も少しずつ和らいでいきました。
当院へご来院されて1か月後の移植で妊娠!現在はつわりや膀胱炎でフォロー中です。
【考察】

この方は初診時から現在に至るまで、常に「奇経治療」が必要な状態でした。この「奇経治療」は当院でメインとなる治療方法です。
「奇経」とは、全身に流れる十二正経(肝、心、脾、肺、腎経など)とは異なる、特殊な経絡で、任脈・衝脈・督脈・帯脈など8+4奇経があります。
奇経の役割としては大きく二つあり、
・正経の気血水が余ったり足りなかったりしたときに、保管・放出する倉庫のような役割をして正経の働きを助けます。
・正経同士の連携を強めて、身体全体としてバランスの良い強い身体を作るのを助けます。
特に奇経の中でも「任脈・衝脈・督脈」は胞宮(子宮・卵巣)から発生しているといわれ、婦人科に関わる場合は優先的に奇経治療をすることが多いです。
この方の場合、各々の臓腑は働いているものの、連携がうまく取れておらずバランスが悪くなっている状態でした。そのため、奇経治療を優先させて正経を正常化し、胞宮に必要な栄養を供給させるように促しました。
身体の状態によって、奇経治療を優先するか、正経治療を優先するか、変わってきますので、受診のたびに身体を観察して診断していきます。これにより、なるべく早くに体質を改善でき、妊娠しやすい身体に近づけることができるのです。
不妊治療に行き詰っている方、一度東洋医学の目線で体を見つめなおしてみませんか?